12.アマドコロ摘んだ春
作詞作曲 西尾賢



















  山菜を採っていると、ふと切なくなることがある。年に一度、春にしか味わえない楽しみ、 あと幾度味わう事ができるのだろうかと。アマドコロは甘みのある、そしてほんの少し苦味もある おいしい山菜。都内の妻の実家の庭にたくさん生えていた。妻の父が亡くなった2000年の春、 庭のいたるところから芽を出しているのを発見。ただし、毒草であるホウチャクソウとの区別が難しいので、 花が咲くまで待ち、アマドコロと確認したら、来年食べてみようということになった。 父の一周忌も過ぎた頃、またぞろぞろと芽をだしたアマドコロの特に太いものを数本切り取り さっと茹でておひたしで食べる。桜はもうかなり散っている。大国が侵攻を始めている。

     

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