週刊ソボブキ


77号
富山


  20年来の友人でドラマー 大和邦彦くんの故郷、富山での彼のコンサートに参加しました。 大和くんにとって上京以来はじめての故郷での演奏です。

  妻とベースの伊藤啓太くんと三人、始めの予定では関越道から北陸道を通って行くはずでしたが、 地図を見ると随分大回りなので、走ってるうちに気が変わり六日町で降りてしまいました。 一般道を走るうち、「そうだ、去年サックスの伴田さんと演奏した十日町のグルメハウスに寄ってみよう」 と思いつき、マスターにお会いしてコーヒーをご馳走になりました。マスター、ありがとうございました。 マスターに教わった道を行くと直江津にでます。そこからは国道8号線をまっすぐです。

  途中、能生という町(まだ新潟県)の道の駅に寄りました。 カニの直売をメインにしていますがその他いろいろな海産物も売っています。 見た事もない魚がたくさん売られてました。キツネという名の魚や 直径が10cmもあるアナゴなどグロテスクなものばかり。なかでも、ゲンゲ (ここではゲンギョ・・・幻魚という名で売られていた)という魚との出会いが、今回の旅を最後まで支配することに なろうとは、この時点ではまだ気づきませんでした。
  ゲンゲは深海に住み底引き網にかかるそうですが、昔は市場に並ぶこともなく捨てていたそうです。 現在は干したもと生のものが売られています。干したものはあぶって、生のものは味噌汁などで食べるそうです。 また、すまし汁は正月料理だそうです。20cm位の体にウロコはなく透き通っていて和菓子のくず桜のようです。 ここではぬか鯖というものを買って、宿泊する入善町(富山県)のいろり館へ向かいました。

  椚山いろり館は昔の民家を利用した施設で見学や宿泊もできます。いろりも使うことができるというので 近所のスーパーへ買出しに行くと、ここでもゲンゲを発見。いろりであぶって食べようと思い、ゲンゲとミギス の干したものを買いました。夕食は国道沿いのドライブイン「キンカイ」で名物「たら汁」をいただきました。 すけそう鱈のぶつ切りが丸ごと1尾ぶんとごぼうが入った味噌汁です。旨いです。その後、いろり館へもどり いろりを囲んでの宴会でゲンゲとミギスを焼いて食べてみました。どちらも味はよいです。 ミギスは頭を食べない方がよいと 言われたので食べてみたら、油が古くなった味がしました。 食べない方がよいようです。 ゲンゲは頭をちぎると黒いはらわたが少しついてきます。翌日、生をさばいてわかったのですが、 ゲンゲのはらわたはイカの墨のように のどから肛門まで真っ黒でした。





干したゲンゲは魂のよう


魂の頭をちぎると真っ黒い魂



大和くんの同級生 よしこさんに味噌汁の作り方を教わったので翌日、 生ゲンゲを買って作ってみました。良いだしが出るということだったのですが、 汁に対してゲンゲが少なすぎたようでかつおだしを足しました。 あまり煮込まずサッと仕上げるのがコツらしいのですが、顆粒のだしを買いにいってるあいだに 煮込まれてしまったのが良くなかったのか、ぶつ切りのゲンゲの身のまわりは あんかけのようにぶるぶるとしていて、身の味もほんのりと独特の磯臭さ (これは釣りをする人じゃないとわからないと思うけど、 夏の堤防なんかで釣ったベラ、ギンポ、トウゴロウいわしなどを 食べたときにたまに出くわす臭さ)がありました。 ちゃんとしたものを食べてみたい!






左から 西尾  竹内久美子  伊藤啓太  大和邦彦  シャーミン



  朝日町なないろ館でのコンサートは大盛況、 演奏も楽しくできました。お越しくださった皆様、ありがとうございました。 その夜もまたいろりを囲んで宴会、銀盤などの日本酒やワイン、かまぼこやホタルイカの酢の物、 とれたてのホタルイカ、メダイ、アジ、甘エビに似たエビ(すじエビだっけ?) のさしみなどをいただきながら夜は更けていったのでした。 いろりはいいなあ。

  今回もまた楽しい楽旅でした。 お世話になった皆様、 そして僕を連れてってくれた大和夫妻に感謝いたします。




ゲンゲの写真のあるサイト        @      A      B      C      D




今月の1曲で「ソボスド」3曲目の「酉」が聴けます。




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